書跡名品の旅

臨書の記録と創作の備忘録

#008【昇仙太子碑】はじめまして、ミステリアス則天文字

唐 則天武后 昇仙太子碑(しょうせんたいしのひ) 聖暦2年(699年)河南省偃師県唐時代の人は、王羲之の書は大へん尊重したが、自己の性情に従った表現をやっているといっていいだろう。 則天武后は、諱は曌(照の則天文字)、并州分水(山西省)の人で、太宗の後宮…

#007【龍門二十品(上)】

北魏 龍門二十品(りゅうもんにじゅっぴん)河南省の龍門にある石窟に造像記が刻られたのは、太和18年(494)からで、それが清朝末近くに、北碑がもてはやされるようになると、この中から良いものを選んで、四品、十品、二十品…とされた。ここではまず以下の十品…

#006【顔勤禮碑】独特マイルーティーンおじさんの書

唐 顔勤禮碑(がんきんれいのひ) 顔真卿(がんしんけい)大暦十四年(779)頃。真卿の曽祖父勤礼の神道碑で真卿自身が撰書したもの。もとは四面刻であったが、一面が削り取られたため建碑の年月等が確定しない。元・明以後土中に埋もれ、一九二二年に発見された。…

#005【曹全碑】スマート八分習得の絶対的バイブル

後漢 曹全碑(そうぜんのひ)郃陽令曹全碑。隷書。後漢、中平二年(185年)。西安碑林。漢代の名碑。曹全は敦煌の人。賊を討ち功績が多く、頌徳の碑が建てられている。碑の石質が堅く鮮明で、学書の規範としてよく用いられた。文字は整い、波法が伸びやかで美し…

#004【石鼓文】あざとかわいい元祖

周 石鼓文(せっこぶん)籀文。中国最古の刻石とされ、石の形が鼓に似ているので石鼓と名付けられた。石の数は十個で、土の中に埋もれていたが、唐代に陝西の陳倉から発見され、陳倉の十碣ともいわれ、内容が狩猟に関係が多いので猟碣とも呼ばれた。碣(丸い石…

#003【禮器碑】粋な波磔芸

漢 禮器碑(れいきのひ)修孔子廟器表、韓明府孔子廟碑、魯相韓勅造孔廟礼器碑、韓明府叔節修孔廟礼器とも称される。隷書(八分)。後漢、永寿二年(156年)。山東省曲阜孔子廟の漢碑の中でも最も完全に保存され、乙瑛碑、史晨碑と共に白眉といわれている。魯相で…

#002【論経書詩(下)】仙人の書(完)

前回からの続き臨書↓ まとめ ・教養があり、書を愛したお爺さんが「ん〜〜…」と、筆先をねじ込むように、ス〜とゆっくり運筆したようなイメージ。大自然に溶け込む仙人の書で、決してダレてなく、むしろ気迫が充実していてダイナミック。 ・欠損が多く、字典…

#001【論経書詩(上)】仙人の書

北魏 鄭道昭(ていどうしょう) 論経書詩(ろんけいしょし) 楷書。永平4年(511) 鄭道昭が道俗の人と共に、雲峰山に登った時、経書を論じて作った詩一種を摩崖に刻した雄大なもの。一字一字をわくの中に入れず、石の素材を生かしながら行を配置している。初めは…

はじめに

はじめまして。2児の母、育休中のshigotoninnです。二玄社さんの『書跡名品叢刊』全209冊を大人買いできたので、その全巻・全臨の記録を残していくのが目標です。また、「臨書」というインプットに対して、作品概要のまとめと簡単な「創作」をアウトプットと…