書跡名品の旅

臨書の記録と創作の備忘録

#004【石鼓文】あざとかわいい元祖


石鼓文(せっこぶん)

籀文。中国最古の刻石とされ、石の形が鼓に似ているので石鼓と名付けられた。石の数は十個で、土の中に埋もれていたが、唐代に陝西の陳倉から発見され、陳倉の十碣ともいわれ、内容が狩猟に関係が多いので猟碣とも呼ばれた。碣(丸い石碑)と呼ぶべきものであるが、唐の韓愈や宋の蘇軾などが「石鼓歌」という詩を残しているので、石鼓が通称となった。製作年代については、古くからいろいろの説論があり、周の成王時代のものと、北周の時代のものとする説などが現れたが、近年の研究によって字体や内容から、東周時代に秦で作られたものであるとの説が有力となった。
書体は籀文から小篆への移行の中間にあるものと考えられる。現在読めるのは272字程度で篆文としては大篆の文字に属する。後世の呉昌碩は深く傾倒していた。(日本習字普及協会『明解書道史』加藤達成・小名木康佑共著より)

臨書↓
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創作↓
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呉昌碩 臨石鼓文↓
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まとめ
・巻末の釈文はあまりあてにならない気がする…(初版本…?)「中国法書ガイド2 石鼓文・泰山刻石」を参考にした。
・字典を引いてもわからない字もある。そして近しい字形もよくわからず、「呉昌碩臨石鼓文」を頼るが、正直違和感を感じる字形もある…。
・さっきまで丸くかわいく書いてたのに、いきなりかっこいい字がでてくる。(石の質によって書風が若干違う?)
・一字の中の点画の入り乱れ方が絶妙なアイディア、創作に◎
・動とも静ともいえない特異なかわいさ。筆意を感じる所もある。この完成度で最古の石刻とは信じられない。